2026年3月7日(土)、認定NPO法人ReBitが主催する「LGBTQ/SOGIE Youth Forum 2026」が開催されました。UNESCO(ユネスコ)との協働プログラム「diverseeds2025」に参加した11プロジェクト・39名のユースリーダーが集結。半年間の試行錯誤を経て、彼らが自らのフィールドでどのような変革に挑んできたのか。当日の発言を余すことなく再現した、詳細レポートをお届けします。

diverseedsとは
diverseeds(ダイバーシーズ)は、LGBTQ分野に取り組むユースリーダーの挑戦を応援するプログラムです。
2018年の開始以来、「未来に多様性のタネをまこう」という想いのもと、これまでに60名のユースリーダーの取り組みを支援してきました。
2025年度は、UNESCO(国連の教育・科学・文化機関)と協働し、LGBTQに取り組むユースリーダーを応援しました。
取り組むプロジェクトは、学校や地域での居場所づくり、授業・イベント等の啓発活動、動画やコンテンツ制作・配信、パレードの開催など、LGBTQに関する取り組みであれば、テーマや形式は自由です。
2025年度は全国各地から 28プロジェクト・58名 の応募をいただき、そのなかから 11プロジェクト・8地域・39名 のユースリーダーを採択。2025年9月から2026年3月にかけて、助成総額105万円の資金的支援と伴走や研修等の非資金的支援を提供しました。
開催レポート|前編
開催レポートの前編はこちらです。
トークセッション2:ユースの居場所をユースがつくる
LGBTQユースがありのままでいられる「居場所」の存在。特に各地域のなかでLGBTQユースのための場所があることは重要です。本セッションでは、実際に地域で居場所づくりや啓発に取り組む団体が登壇しました。

登壇者
- わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth)
- まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト)
- タカセ(CueFile)
- An(GSA Hamamatsu Japan)
ファシリテーター
- 加藤麻衣(diverseeds2026メンター)
- 三戸(diverseeds2026事務局)
加藤:まずはお一人ずつ、自己紹介と活動の紹介をお願いいたします。
秋田を、もっと呼吸しやすい場所へ。ユース世代がつくるサードスペース

わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth): あきたにじいろユースのわかなと申します。団体の立ち上げのきっかけですが、秋田県ではユースが集まれる場所がとても少なくなっています。各大学でサークルができたとしても、興味がある人がどんどん少なくなってしまい、継続が難しくなっているのが現状です。また、偏見や差別が未だに多くあるというところで、ユースが生きづらさを感じています。
秋田県で継続していく団体として活動や居場所作りを行っていきたい、ユースのサードスペースとして運用していきたいという思いから立ち上げました。今のメンバーは、秋田にゆかりのある学生や、秋田の大学に通う学生が中心です。
私たちは、秋田でユースが繋がりを持ち、それぞれがにじいろに輝くコミュニティを目指しています。単に活動をするだけでなく、「温かい場所」としての居場所作りを大切にしています。そのために、自分たちでグランドルールを作って、それを見返しながら運用しています。座席の配置や話題についても、事前の確認が必要な場合があるので、配慮しながら運営しています。
これまでの活動としては、オンラインで性教育や制服、ファッションについて話すお話し会を行ったり、12月には対面でのお話し会も開催しました。そこでは秋田で過ごして感じてきた課題や、理想の秋田について話し合いました。3月21日にトークショーとワークショップのイベントを行う予定です。
『体験格差』をゼロに。ユースが諦めなくていい未来づくり

まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト): LGBTQユースサポート・プライドプロジェクトのまさと申します。私自身、生まれた時は男の子だったんですけれども、小さい時から自分の体に違和感がありました。親からは「男の子だからこっちの服を選びなさい」「髪を短くしなさい」と言われてきましたが、それがすごく苦痛で、モヤモヤを抱えていました。学生時代にそのモヤモヤがどんどん大きくなり、体の変化についていけなくなって、中学生の時に自殺未遂を経験しています。
一番誰かに話を聞いてほしい、相談したいユースの時期に、誰にも相談ができず、セクシュアリティについての情報も誰も教えてくれなかった。私の住んでいたまちは学校の中でも「男の子・女の子」という役割が強固な社会でした。そうした原体験を経て、2020年にこのプロジェクトを立ち上げました。
私たちが目指しているのは、「セクシュアリティにおける体験格差」をなくし、ユースが地域の中で生き抜くことができる環境を地域のなかで整えることです。「体験格差」というのは、例えば友達と恋愛の話をしようとしても男女前提・異性愛前提で進むから自分の話を諦めてしまったり、多目的トイレがなかったり自分の性自認にあったトイレを利用できなくて学校に行けなくなってしまったりといった、見えない格差のことです。大人への啓発や子どもの居場所をつくることでそういった体験格差を減らしていきたいと思っています。
現在は関西地区を中心に、主に3つの軸で取り組んでいます。
1. 居場所事業: 地域の青少年センターや市と共催し、ユースが安心できる居場所を開催。
2. 講師派遣事業: 2025年度は年間50箇所、回数にすると100回近く地域の学校などに出向き、授業を届けたりカリキュラムを一緒に作ったりしています。
3. D&I推進事業: 他の子ども向け団体との勉強会や地域のお祭りへの参加など、周りからボトムアップで環境を作っています。
SOGIEをもっと“普通”に、前向きに語りたい

タカセ(CueFile): CueFileのタカセです。diverseedsをきっかけに立ち上げたのが「CueFile」という団体です。あえてLGBTQ団体っぽくない名前にしたのには理由があります。「Cue」は何かを始めるきっかけになる場であってほしいという意味、そして何かを始めるときに一緒にやる人や同じ思いを持った人がいると心強いですよね。「File」はアクションを起こすためのネットワークを自分の中に保存していってほしいという思いを込めています。私たちのミッションは、「SOGIEを自然に語り、学び合う前向きな文化」を広げることです。
背景には、名古屋という「そこそこ都会」な環境ならではのモヤモヤがあります。正直、安心して過ごせる居場所は探せばすでにあるし、直接的な差別発言を耳にすることも自分の環境のなかでは減ってきました。ただ、特にユース世代の間で感じるのは、「触れないでおこう」「そっとしておこう」という心の距離感です。あるいは、SOGIEの話をすると「大変だったね」「かわいそう」といった深刻すぎる反応をされてしまう。もっと普通に、自然に喋りたいのにというモヤモヤを感じていました。そんな状況を変えるため、1月と3月にイベントを開催しました。ワークショップや交流会を通じて、SOGIEに関心を持つ世代が前向きに繋がれる場所を作りました。
オランダの『パープルフライデー』を日本へ。国境を越えて学んだ、連帯を示すためのアクション

An(GSA Hamamatsu Japan): GSA Hamamatsu JapanのAnです。私がLGBTQ+やジェンダーに関心を持ったきっかけはきょうだいにあります。きょうだいが保育園の頃から「男の子になりたい」と言っていて、真逆だった私は「どうしてだろう?」と疑問を持っていました。しかし、小学校でのクラスメートの発言やテレビを通じて「社会が受け入れがたい環境」であることに気付きました。周囲にLGBTQ+について教えてくれる大人がおらず、自分で学ぶようになり、高校3年生の時にはオランダへ留学しました。
団体は2024年12月に結成し、メンバーは関東から浜松、関西まで全国にいます。「誰もがありのままでいられる社会」を実現するために、2つの大きなイベントを行いました。
1つは、オランダの学校で普及しているLGBTQ+啓発イベント『パープルフライデー』です。レインボーフラッグの中で「精神」を意味する紫色を身につけることで、コミュニティとの連帯を表します。学校の集会でその意味を伝えたり、放課後にクイズ大会やエピソードトークを行ったりしました。もう1つは、1月末に開催した『Find a Rainbow – Free to be -』です。ボーダーレスに自分らしさを大事にするイベントとして、アートで自分を表現するワークショップや、モヤモヤ・嬉しかったエピソードを共有するコーナーを作りました。参加者もメンバーも心から楽しんでいる様子が印象的で、そうした「自分らしくいられる場」に出会えることが、私の原動力になっています。
生きづらさの差を解消するための居場所と連携
加藤: 早速ですが、皆さんはそれぞれの地域で生活をしたり活動されたりしていますが、そこで感じる課題感などはありますか? わかなさんからお願いします。
わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth): はい。私が宮城県や秋田県など、東北に住んでいて課題に感じてきたことを3つお話しします。
まず1つ目に、「噂がすごく広まりやすい」ことです。「みんなご近所さん」という地域がやはり多いので、例えば「どこの家の子がどこの学校に行った」「今何をしている」「ずっと家にいるらしい」「何の仕事をしている」といった情報がすぐに広まります。2つ目に、本当の意味でのセーフスペースが足りていないと感じています。先日、私が公共のスペースで勉強している時に、セクシュアルマイノリティに対してすごく差別的な発言をしている方がいて。心を痛めながらその場で過ごすしかありませんでした。
3つ目に、ジェンダ規範が強かったり、決めつける文化が強かったりすることです。私が言われて不快だったことの第1位は、指を差されて「若い人たちは性的に奔放だから」と言われたこと。あとは、バイト先でセクハラをされて辞めたのですが、その時に「そんなんじゃ結婚できないぞ」「嫁に行けないぞ」といった批判をされたことです。
セクシャリティやジェンダーに関して困りごとを抱えている人は本当に多くいると思うので、あきたにじいろユースとしては、心から安心できる居場所づくりを行っていきたいと思っています。

An(GSA Hamamatsu Japan): 私は地方と東京の両方で生活した経験があるのですが、東京の場合はLGBTQ+関連のイベントやコミュニティがたくさんあって、「一人じゃないな」と思えるんです。でも地方にいる時は、わかなさんが話していたように、言葉遣いからして「それはどうなんだろう」と傷つくようなことを言う人もいます。お隣さん同士の近いコミュニティも素敵ではあるのですが、ジェンダー関連の特定のコミュニティはやはり少ないです。そこで孤立を感じてしまうと、なかなか相手に相談できないし、相談できる人も見つけられなくて、「悩んでいるのは自分一人だけなんじゃないか」と思ってしまいます。
タカセ(CueFile): わかなさんの話を聞いていて、自分でもやっと気づいたのですが、自分自身が生きてきた環境は結構恵まれていたんだなと感じました。先ほどもお話しした通り、名古屋というある程度環境が整えられていると自分が感じられる地域で生まれ育ったこと。そして親も自分の活動を応援してくれているという家庭環境。さらに、進学した大学が芸術系の大学なのですが、芸大って自分自身をオープンにいられる場所だと思っていて、これまで活動をしてきてもマイナスな反応をもらったことがあまりなかったんです。
そういう人生を歩んできた立場からだと、逆に地方の課題を語ることの難しさを感じます。自分でも気づけていない課題があるのではないかと思ったのが正直なところです。
加藤:ありがとうございます。生きやすい地域がある一方で、すごく生きづらい地域も同時に存在している。今の日本の状況が、皆さんのエピソードからよく伝わってきました。この「生きづらさの差」をどう解消していくのか。皆さんが取り組んでいる活動や、このdiverseedsを通したアクションが、確実に良い影響に繋がっていくのだと感じます。まささんはどうでしょうか?
まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト): 社会全体の認知として、教員の方をはじめ「性の多様性」に目を向けてくださる方は増えてきました。しかし、やはり知識へのアクセスのしやすさは地域によって差があります。地方で教職員研修や居場所の活動をしようとしても、当事者が可視化されにくい側面があるため、「限られたリソースをそこに割くのはもったいない」と見られてしまうこともあるなと思います。
今、プライドプロジェクトとして進めているのは、「地域のネットワークをミクロなところから広げていく」ことです。私たちだけでは圧倒的に手が足りません。一方で、地域には子ども支援を長くやられている方や福祉に詳しい方が必ずいらっしゃいます。そういった関心の高い方々に「一緒にやりませんか」と働きかけることで、輪が一気に広がると考えています。「支援者を支援する」ためのセミナーを開催したり、地域の祭りに参加したりして、学校教育の専門家や福祉分野の方々と繋がっていく。この、違うセクター同士の繋がりをシステムとして組み替えていくことができれば、さらに大きな波になっていくはずです。
三戸: おっしゃる通りですね。LGBTQの支援さえあれば解決するかというと、決してそうではない。一人ひとりの背景には精神疾患、いじめ、自殺リスクといった複合的な課題があります。だからこそ、様々な専門家と一緒にやっていく視点が大事だなと思います。
わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth): 学校現場というところでいうと、私が教職課程で学んできた中で、教職員のLGBTQや性の多様性に対する知識が圧倒的に不足していると感じます。ある養護教諭の先生から聞いた話なのですが、生徒の中に当事者の子がいたから、特別講師を呼んで学校でトークショーを開いたそうなんです。でも、その生徒さんはトークショーに来てくれなかった。先生は「せっかく呼んでやったのに」と言っていて……。
私は「それはちょっと違うんじゃないか」と思いました。参加するかどうかは生徒が選ぶものですし、その子は「今は安心して聞けない」と判断したのかもしれない。そういった背景を想像できないところに、教職員の解像度の低さを感じます。この4年間、教員養成課程の中でも、LGBTQについてしっかり学ぶ時間は少なかったと実感しています。
三戸:今の話を聞いて、映画『カランコエの花』を思い出しました。先生もその子のことを思って行動したのでしょうけれど、その子が誰かの話を聞ける状況にあるかどうか、そこまで教職員が想定できるよう教員養成課程のなかで学ぶ等、仕組みづくりが必要になってきますね。
セーフスペースから、挑戦の場まで。一人ひとりの『今』に寄り添う、多様な居場所の選択肢
三戸: 少し話題を変えていきたいと思います。それぞれ地域の「居場所」を運営しているメンバーだと思いますが、居場所のあり方について考えていることや、感じていることはありますか? まずはまささんからお願いします。
まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト): 私たちが運営している場所には、大きく分けて2つの志向性があります。
1つは、当事者に限定した「セーフスペース」です。ある意味で、簡単にアクセスできないようにして安全性を守る場所。もう1つは、ユースセンターと共催している「ユニバーサル型」です。ここは入ろうと思えばどんな子でも入ってこれる場所です。
この「ユニバーサル型」を見ていると、必ずしもセクシュアリティの悩みだけではなく、家族の話や学校での生きづらさを語り合う場となり、最終的には、施設全体で恋バナなども含めて、多様な性のあり方を前提とした話が普通にできるようになって。これはこれですごくいいなと感じています。一方で、最近考えているのは、時代がアップデートされていくなかで、居場所をどう変えていくのか。「安心安全を守るスペース」も大切ですが、それだけではなく、彼らをエンパワーメントしていくような場所ももっと必要なのかなと思っています。

タカセ(CueFile): 名古屋はある程度、ユースが安心して過ごせる場所や情報が整えられつつあります。そのなかでCueFileがチャレンジしたいのは、安全な場所のさらに先にある「エンパワメント」です。新しい繋がりを得ることで、「こういう生き方もあるんだ」という選択肢を増やしたい。
というのも、自分の中にずっと「LGBTQ当事者は、守られるべき存在、弱い存在」というイメージが内面化されてしまっていたんです。でも、そのイメージをどうしても塗り替えたい。当事者はただ「守られる」だけの存在じゃない。自分たちでもっと楽しいこともできるし、やりたい道に進める。そんな「チャレンジングなこともできるんだ」というイメージに変えていきたくて、CueFileの取り組みをやっています。
そう思ったきっかけは、地元の名古屋を飛び出して東京の団体に飛び込んでみた経験が大きいです。東京で同世代の活動をしている人たちと出会って、「あ、やってる人、こんなにいるじゃん!」と。名古屋では同世代の活動家に会ったことがなかったので、「こういうきっかけになる場所、名古屋でも作れるじゃん」と思えたのが大きかったですね。

An(GSA Hamamatsu Japan): 私が居場所として大事だと思うのは、マジョリティかマイノリティか、当事者かそうでないかという「枠組み」に捉われすぎないことです。枠組みで考えすぎると、どうしても苦しくなる時があります。その人が何が好きで、どんなことに悩んでいるのか。障がいがある、外国にルーツがある、ひとり親家庭である……そういった多様性も含めて、個人として本音を話せる場が大切だと思います。
「自分一人じゃないんだ」と思えるコミュニティに出会えるかどうかで、自分らしくいられるかは変わります。私もタカセさんと同じように、東京のコミュニティに出会った時に「あ、みんな自分らしく生きている、私もそうなれるな」と励まされたので、そういう場所があるだけで本当に嬉しいなと感じます。

わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth): 秋田での活動を始めてから痛感しているのは、地方における居場所の難しさです。地方は匿名性が保たれにくい。例えば秋田駅前の会場でイベントをしようとすると、「あの子があの部屋に入っていった。あそこは何の集まり? もしかして……」という目線がある。当事者であることを隠したいのに、場所に出入りするだけでバレてしまい、それが噂として広がってしまう。「行きたいけれど、行くのが怖い」という相談を実際に受けています。匿名性が担保されないことが、いまわたしたちのなかで大きな課題だと感じています。
加藤: 安心して行くことができる居場所を作るには知識もスキルも必要ですよね。皆さんはどうやってそれを手に入れたのでしょうか?
まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト): 私は2020年から始めて丸6年になりますが、最初は本当にやり方が分かりませんでした。だから、まずは地域で活動している人のところに参加者として行き、その後しばらくスタッフをさせてもらったんです。そこでグランドルールの作り方や、安心できる関わり方のレクチャーを受けて、とりあえず自分でも作ってみたのが始まりです。あとは、仕事として子ども支援に関わる中でヒントを得たり、今回のdiverseedsのプログラムで性暴力に関する研修を団体メンバー全員で受けて、子どもへの加害について話し合ったり……そうした積み重ねですね。
これから始める人へのアドバイスとしては、やはりわたしがしてもらったような伴走支援があるといいなと思います。資料だけでは難しい部分もあるので、コミュニティを作る人が横にいて、一度なんとなくやり方が分かれば、あとは走っていけると思います。
加藤: ありがとうございます。私も盛岡出身で今もそこで暮らしているので、境界線が曖昧だという感覚はすごくよく分かります。「あなたに話していないのに、なぜそれを知っているの?」ということが、日常的に起きるんですよね。これは地方に限った話なのか、その場において共有されていないルールがあるのかわからないのですが、ただ残念ながら、予測しなかった暴力的な発言やハラスメントに突然さえあされる危険な空間になってしまう側面があります。実は今年、盛岡の「さんさ踊り」というお祭りに会社で出ることになりまして、地域コミュニティに、ついに飛び込むことになったんです。正直、何らかのハラスメントに遭遇するのではないかと今も恐れています。
でも、今日皆さんの話に出てきた「エンパワメント」という言葉や、各地でしんどい思いをしながらも頑張っている人たちの存在が、私の力になっています。実際に飛び込んでみたら、予想していたより嫌な目に合わなかったり、意外な人がイベントに来てくれたりと、嬉しい誤算があるのも地方の良さですよね。しんどい目にも遭うけれど、こうしてみんなと一緒に、これからも一歩ずつ前に進んでいければと思っています。
三戸:私は福島でも居場所作りをしていますが、地元ではカミングアウトができず、地元のLGBTQの居場所には来られない方もいらっしゃいます。実際に、福島で開催している場に茨城や宮城からわざわざ来てくださる方もいる。地元では参加できないけれど、他の地域なら参加できるという選択肢があることも重要だと思います。
わかなさんがおっしゃった匿名性の確保については、例えば「公共施設で居場所作りをすることで、建物に入っていくのを見られても不自然ではない環境を作る」といった工夫をしている団体もあります。
まささんの「ユースセンターがLGBTQにとっても安全な場所になる」という事例も本当に素敵ですよね。ユースセンターや男女共同参画センターなども含め、既存のあらゆる居場所でLGBTQが包括され、安心して過ごせる場が点在していけば、地域全体が少しずつ変わっていくはずです。地域の大人の皆さんと連携しながら、この広がりを支えていきたいですね。
おわりに
加藤:セッションも終了の時間が近づいてきました。最後に、ユースの皆さんから一言ずつメッセージをいただいて、終わりにしていきたいと思います。まずわかなさん、お願いします。
わかな(あきたにじいろユース/Akita Rainbow Youth) : 今、学校や家庭、職場で孤独を感じている人たちに伝えたいことがあります。秋田の現状について少し暗い話もしてしまいましたが、私たちがいるし、味方になってくれる大人は本当にたくさんいます。
ユースが安心して過ごせる居場所を継続していくためには大人の理解や社会の理解が必要不可欠だと思います。、どうか自分の感じていることや、自分で選んだ選択を大切にしてほしい。私はそのために、4月から養護教諭として、温かく子どもたちを支えていきたいです。
まさ(LGBTQユースサポート・プライドプロジェクト) ): 私はこれからも地域の中で、安心して過ごせる場をつくりながら「ロールモデル」を提供し続けたい。LGBTQに完全に理解がある人だけでなく、関心を持ち始めたばかりの人も含めたスペクトラムがあると思います。いまLGBTQということが問題として取り出されて話されることもありますが、本来はそうではなくわたしたちみんなひとりひとり性を持っているのは変わらないため、みんなで一緒にやっていこうという気持ちを広げていきたいです。
また、LGBTQであることは、その人の一つの側面に過ぎません。私が関わっているユースの中には、引きこもりや家庭内暴力など、複合的な困難の中にいる子も多い。誰一人として排除されない、注目されるのではなく包括されるような社会を目指して活動を続けていきます。
タカセ(CueFile) : 自分からは決意表明のような形になりますが。自分は今日この時間のなかで、名古屋は進んでいるという話をしましたが、進んでいるからといってみんなが生きやすいわけではありません。ただ進んでいるだけでそれぞれが必要なものはひとりひとり違う。自分に一番合う、いやすいコミュニティを見つけてほしいと思っています。
そのために自分たちができるのは選択肢を増やしていくことだと思っています。「こんな団体もあるんだ」という選択肢を一つでも多く作るために、CueFileの活動を動かし続けていきます。
An(GSA Hamamatsu Japan) : 改めて、特定のコミュニティに限らず、複数のコミュニティを持つことの大切さを感じました。学校や家族だけが居場所だと、そこでマイノリティだと感じた瞬間に、周りから作られた考えに支配されて苦しくなってしまう。
自分が心地いいと思える場所に出会うことで、自分らしくいられるようになります。私はかつて、自分の経験を発信することで誰かを励ませるようになりたいと話した際、背中を押してくれる言葉をもらって本当に嬉しかったです。今度は私が、コミュニティを通じて誰かに勇気を与えられる存在になりたいです。
加藤:まだまだ話し足りないところではありますが、以上でトークセッション2「ユースの居場所をユースがつくる」を終了します。

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