
毎年10月末の1週間は「Ace Week(エース・ウィーク)」です(※旧 Asexual Awareness Week)。
この1週間は、アセクシュアル(Asexual)やエース・スペクトラム(Ace Spectrum)についての理解を社会的に広め、当事者の存在を祝福するとともに、抱える課題への認知を高めることを目的としています。2010年にセラ・ベス・ブルークス(Sara Beth Brooks)氏によって始められ、現在では世界中で当事者の交流会や情報発信、イベントなどが行われています。
アセクシュアルと「当たり前」という思い込み
アセクシュアル(Asexual)とは、他者に対して性的な惹かれを抱かない、あるいはほとんど抱かないセクシュアリティのことを指します。また、アセクシュアルに加えて、他者に恋愛感情を抱かない「アロマンティック」や、その中間・グラデーションにある多様なあり方を総称して「エース・スペクトラム(Ace Spectrum)」と呼ぶこともあります。
私たちの社会では、「誰しもが、誰かに恋愛感情や性愛感情を抱くのが当たり前」「大人になれば恋人ができ、結婚するのが普通」という前提で物事が語られがちです。性的指向の多様性が話題になる時も、「性別によらず、誰かを愛することはすばらしい」というかたちで語られることもあります。こうした思い込みによって、アセクシュアルやエース・スペクトラムの人たちは、「まだ運命の人に出会っていないだけ」「感情が乏しいのでは」といった偏見や誤解に向けられたり、自身の感覚を誰にも打ち明けられず孤立感を深めたりしてしまうことがあります。
「Ace Week」は、恋愛や性のあり方についての「当たり前」を問い直し、誰かに惹かれる・惹かれないに関わらず、一人ひとりのあり方が尊重される社会をつくるための大切な機会です。
多様性を象徴する「アセクシュアル・プライド・フラッグ」の意味
アセクシュアルコミュニティにも、独自のシンボルフラッグが存在します。
上から「ブラック」「グレー」「ホワイト」「パープル」の4つの横縞で構成されており、それぞれの色には以下の意味が込められていると言われています。
- ブラック:アセクシュアル(他者に性的に惹かれないセクシュアリティ)
- グレー:グレーアセクシュアルやデミアセクシュアル(条件によって惹かれるなど、アセクシュアルのグラデーション)
- ホワイト:アロマンティック(他者に恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)や、アライ(理解者・支援者)
- パープル:コミュニティ全体(プライドと連帯)
このフラッグは、一人ひとりのグラデーションやコミュニティの繋がりを象徴するシンボルとして、イベントやSNSなどで広く用いられています。
私たちにできるアクション(アライアクション)
すべての人が自分らしく暮らせる社会づくりのために、今日から始められる身近な「アライアクション(理解し、行動する)」をご紹介します。
- 知る・学ぶ:本や記事、信頼できる情報を通じて、アセクシュアルやアロマンティックなど、多様な感情や惹かれ方の経験や声に触れてみる。
- 「当たり前」の決めつけを避ける:「好きな人はいるの?」「いつ結婚するの?」といった問いかけが、恋愛や性愛を前提としたものになっていないか意識し、相手の価値観や生き方をそのまま尊重する。
- ちがいを尊重するためのアンテナを立てる:恋愛や性愛についての会話は、アセクシュアルの人に限らず、違和感や居心地の悪さを感じている人がいるかもしれないと想像し、「誰もが話したいとは限らない」という視点を日常の中で大切にする。
- ポジティブに話題に出す:今日のような記念日について、家族や友人と「今週はAce Weekなんだって」「色々な生き方の形があるんだね」とポジティブな話題として共有してみる。
一人ひとりの小さな変化や理解が、誰かの「過ごしやすさ」につながります。この「Ace Week」が、多様なセクシュアリティや生き方について知り、自分にできることを考えるきっかけになれば幸いです。