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【開催レポート】LGBTQも安心して暮らせるまちづくりシンポジウム|アーカイブ動画公開中

2025年12月10日(水)、NPO法人ReBitが主催となりLGBTQも安心して暮らせるまちづくりについてシンポジウムを開催しました。首長・自治体職員・LGBTQ団体のみなさまにご登壇いただき、約100名のみなさまが参加しました。

2025年で、渋谷区・世田谷区が全国で初めて「パートナーシップ制度」を導入してから、10年という節目を迎えました2023年には「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律SOGI理解増進法)」が制定され、各自治体でLGBTQも暮らしやすいまちづくりに向け、パートナーシップ制度のみならず、教育・福祉・防災…等、様々な取組みが進められています。

本シンポジウムは、この10年の歩みを総括しつつ、全国の自治体が直面している課題や、取り組みを行う自治体の先進事例を共有することで、「誰もが自分らしく安心して暮らせるまち」の次なる10年を展望することを目的に開催されました。


開会挨拶・基礎講座「LGBTQを取り巻く社会の現状と課題」

シンポジウムの幕開けとして、NPO法人ReBit代表理事の藥師実芳より、当事者が直面している困難と社会の現状についての解説が行われました。

存在の不可視化と当事者を取り巻く障壁

LGBTQは人口の約3〜10%存在します。しかし「自分の周りにはいない」と誤解されやすい状況がまだまだあり、その背景には根強い偏見や差別により当事者が声を上げにくい現状があります。データによれば、当事者の約7割が学校生活でいじめを経験、約7割のトランスジェンダーが就活のなかでセクシュアリティに由来した困難を経験し、精神疾患・生活困窮・自死のハイリスク層であるという深刻な実態があります。家庭、学校、そして就職活動や職場といった人生のあらゆるステージにおいて、LGBTQは「存在しないもの」として扱われたり、不当なハラスメントにさらされたりする困難の中にあることが説明されました。

「パートナーシップ制度」から「まちづくり」へ

2023年施行の「SOGI理解増進法」により、地方公共団体や企業等に対して理解促進や相談環境の整備等が「努力義務」とされました。パートナーシップ制度の取り組みだけではなく、条例や各種行政計画での性の多様性の包摂、相談・居場所づくり等が自治体のなかでさまざまな取り組みが進められています。


自治体実践事例の紹介 ~4自治体の先進事例~

続いて、独自の工夫で施策を推進する4つの自治体から、具体的な取り組みが報告されました。

① 兵庫県明石市:専門職員の登用とまちのなかでの「見える化」

明石市は2020年に全国に先駆け、LGBTQ施策に特化した専門職員を公募し採用しました。これにより、当事者のニーズに即した精度の高い施策が可能となりました。

性的マイノリティの人権は暮らし、教育、働くなど、さまざまなフィールドに関わるため、幅広く「まちづくり」のテーマとして推進しています。企業や医療機関、自治会等のみなさんと情報共有を年に1回行いながら地域連携のなかで取り組みを進めています。

なかでも医療機関と連携協定を締結し、同性パートナーが救急時の面会や同意を行える環境を整備。まち全体でできる啓発としてとして駅前の階段を常設のレインボーカラーにするなど、市民の日常のなかから伝えていく姿勢が示されました。

ほかにも明石市では、全国に先駆けて同性パートナーの親や子も「家族」として包摂するファミリーシップ制度を導入したほか、SOGIEに関する啓発や困難解消の取り組みを中長期的に支える「明石にじいろ基金」を創設するなど、先進的な施策を次々と展開されています。

参加者からの質問「自治体予算が縮小傾向にある中でどのような考え方やロジックでLGBT関連予算を確保し、議会や庁内に対して成果を説明してるのか教えてください。」

明石市からの回答「この施策に限らず、公がやる意味というのをどう考えるか。費用対効果の話は自治体のなかでよく言われる話ですが、合理性だけでできない部分、人権課題や社会を変えるという部分を公がやる責任があるのでということしっかり説明することになると思います。一部の人のための政策では決してなく、広くまちづくりの政策、全ての市民にかかる政策であることをきちんと伝えられるかだと思います。」

② 埼玉県:全県一丸となった包摂的な推進体制づくり

埼玉県は、県内すべての63市町村がパートナーシップ制度を導入し、全市町村間で連携協定を締結しているため、制度利用者の県内での転居時の手続が簡略化されており、住民の利便性を高めています。また、市町村連携会議を運営し、県が見直した制度の周知やパートナーシップ制度の好事例を紹介することで市町村での施策推進を促しています

さらに、アウティング(本人の同意なくその人の性のあり方を暴露すること)の禁止を明記した条例を制定。「埼玉県アライチャレンジ企業登録制度」では、企業の取り組みを可視化・指標化することで、官民一体となった社会変革を力強く牽引しています。また県内にキャンパスを有する大学及び短期大学と協力し埼玉ALLY大学ネットワークを立ち上げ、大学の取り組み状況や課題の調査、好事例を共有する会議を実施しています。現在14大学(シンポジウム当時。令和8年1月1日現在では15大学)がネットワークに参加しています。

ほかにも埼玉県では、学校現場での性の多様性を尊重した教育の推進を行っています。
「学校における性の多様性尊重取組シートでは性的指向・性自認に関する悩みを持つだれもが安心して学校生活を送ることができるようにすることを目的に、チェック項目に基づいた取り組み事例の例示がされています。
「性の多様性に係る 『児童生徒用リーフレット』啓発資料集」では児童生徒用リーフレット 「たくさんの色 ふれ合おう。」を用いて子どもたちに性の多様性について伝えるための具体的な授業展開のモデルケースが紹介されています。
また、教職員が児童生徒、保護者の方などから性の多様性に関する相談を受けた際に参考できる資料として「性の多様性に係る相談対応ハンドブック(教職員用)」を作成しています。ここでは相談対応のフローチャートやQ&Aが詳しく掲載されており、校内の相談体制づくりから、実際に児童生徒や保護者から相談を受けた際の具体的な対応まで、現場で即座に参照できる実践的な内容となっています。

参加者からの質問「県内市町村のLGBTQ担当者様からあがってきている困り事や現状はどのようなものが多いですか?また、それをサポートするために都道府県としてできることを教えてください。」

埼玉県からの回答「全市町村でパートナシップ制度が導入はされているもののサービスの度合が市町村によって違うというところが、我々の課題感としてもあります。市町村連携会議を通じて、取り組みの底上げをできるように支援を行っています。」

③ 静岡県島田市:国の制度活用と職員有志によるグループ活動

地方都市におけるリソースの不足を、国の制度活用で打破したのが島田市です。「地域プロジェクトマネージャー」制度を利用し、都市部の専門人材を招致することで、質の高いアドバイザー機能を確保しました。

特筆すべきは、職員有志による自主グループ「しま×にじ」の存在です。島田市役所の人事制度「active activity」を活用し、月に1時間を業務時間として活動に充てています。これは民間企業でいうERG(従業員リソースグループ:Employee Resource Group)にあたる先進的なお取り組みです。部署の垣根を越えて関心のある職員が自発的に集まることで、組織の中に理解者(アライ)が着実に増え、意識改革や庁内の風土づくりを促します。

行政組織の内側からボトムアップで意識改革を進めると同時に、ラジオ番組図書館の児童書選書、学校への出前講座など、市民一人ひとりに届く「草の根」の啓発活動を丁寧に積み重ねています。

参加者からの質問「LGBTQ分野の専門職が行政外から中に入って取り組むことのメリットや難しさはどのように感じていますか?」

島田市からの回答「島田市がアドバイザーを任用するきっかけとなったのが、パートナーシップ制度の導入検討が始まりでした。制度導入にあたって、単に先行事例の焼き直しをするのではなく、当事者の意見を反映させて当事者が望む制度を導入したいと思ったのがきっかけです。というのも当時、市内には当事者団体が存在しておらず、なかなか市に住む当事者の方たちの声というのが聞く機会がなく、取組みに反映できてないということが課題にありました。そういう意味で当事者たちのニーズを代弁する存在として専門職員が役に立ったのではないかな というふうに思います。

一方で難しさは、やはり職員ではない人を任用することから始まるため、地域の特色を掴んだり、公務員としての業務に慣れるのに時間がかかるというところが挙げられると思います。

また、人権部署なのか、市長管轄部署なのか、人事部署なのかによって課題解決へのアプローチの方法が変わってくると思います。アドバイザーがいるから課題が解決するわけではなく、行政としてどんな課題を解決したいと思って任用するのか。そのためにはどの所属に配置されるのが適切でどういうことをやっていただきたいと思っているのかを自治体のなかで事前に整理をしておいたほうがいいのかな思います。」

④ 東京都:都内企業等へのオーダーメイド支援と「ALLY」の浸透

多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、性的マイノリティの当事者が暮らしやすい環境づくりに向けて、都内企業等を対象に、助言や研修等をトータルで行う訪問支援事業を実施しています。
LGBT等対応の専門家が企業を訪問し、各企業の現状に合わせてオーダーメイドに支援する画期的な取組です。
さらに研修受講等した企業が任意で「LGBTフレンドリー宣言」を行うことで、取り組みを行っている企業の可視化を行っています。

また、「LGBTフレンドリー宣言企業の取組事例紹介」では、企業の担当者が「なぜ取り組みを始めたのか」「どのように施策を浸透させたか」を具体的に語っています。
これらの取り組みは、これから一歩を踏み出そうとする企業にとってヒントとなっています。

さらに「TOKYO ALLY」プロジェクトを通じ、研修・セミナーの受講等、一定の条件を満たした方々の利用申請により、東京都アライマーク「TOKYO ALLY」のグッズ(ピンバッジ)を配布しています。「ALLY」が視覚的に認識できる環境を整えることで、社会全体の「味方」を増やし、当事者の安心感を醸成する取り組みが紹介されました。

参加者からの質問「LGBTQに関する情報に触れることが少ない住民のみなさまにも情報を知っていただくための周知に力を入れていただいてるなと思います。注力されている取り組みを教えてください。」

東京都からの回答「普及啓発冊子やチラシ等の作成を行っています。先日、東京国際フォーラムで開催したヒューマンライツ・フェスタ東京等、人権啓発イベントを通じて配布させていただいています。また、中小企業の方が研修やセミナー等の開催当日にご来場いただくことが難しいという声を受けて、無料の企業向けオンラインセミナーを一定期間配信しています。」

参加者からの質問「LINEや電話相談等、いろいろなかたちで相談を実施していますが、都内の福祉資源や庁内連携、相談業務における工夫があれば教えてください。」

東京都からの回答「東京都は委託事業者と連携し、心理士やカウンセラー等、資格を有する専門相談員を中心として電話やSNSを活用した相談事業を実施しています。また、当事者支援団体と連携し、若年層を中心とする当事者同士が相談・交流できる機会を提供するイベントを実施しました。
さらに、このイベントに参加された保護者に対する相談会も今年度から新たな試みとして実施をさせていただいてます。」


「パートナーシップ制度10周年を迎えて、これからの10年を考える」

2015年に日本で初めてパートナーシップ制度を導入した世田谷区の保坂展人区長にご登壇いただき、NPO法人ReBit代表理事の藥師と事務局長の中島と10年を振り返るとともに、これからの10年を考える時間となりました。

世田谷区が切り拓いた「宣誓制度」の原点

保坂区長は、日本初の制度誕生の背景には、当事者たちの切実な「住民としての訴え」があったと当時を振り返りました。

2014年、世田谷区議会でパートナーシップ制度に関する質問がなされた同時期、隣接する渋谷区がパートナーシップ制度をつくることを表明し、社会に大きな一石を投じました。これを受けるかたちで、世田谷区でも住民である当事者カップルたちが区長のもとへ要望書を携えて来庁しました。

当時、来庁した当事者たちは「同性同士であるがゆえに賃貸住宅の契約を拒まれ、パートナーが病に倒れても病室にすら入れない」という現状を伝え「どんなかたちでもいい。区長の名前で自分たちの関係を証明してほしい」と訴えました。

保坂区長は、当時の心境を次のように語ります。 「その場では『皆さんの気持ちは分かりました。どのような形で証明が可能か考えてみます』とお答えしました。しかし、検討を進める上で大きなハードルとなったのが、法的な根拠が不十分な中で、万が一相続等の法的紛争が生じた際に自治体が責任を問われるリスクをどう回避するかという点でした」

模索が続くなか、ある日の散歩中にふと思いついたのが、「二人がともに人生を歩む意思を『宣誓』し、区がその届出を『受領』したことを証明する」という独自の仕組みでした。これが多くの自治体が導入しやすい「世田谷モデル」として全国へ広がる契機となりました。

2015年11月5日、渋谷区と世田谷区はパートナーシップ制度を同日に開始しました。これには、単独での実施に留めず「隣接する自治体が足並みを揃えることで、社会へのインパクトを100倍、200倍に最大化させる」という保坂区長の戦略的な意図がありました。メディアが両区の取組みを報じられるよう、発表時間まで細かく調整して臨みました。

制度導入から生活の変化へ

制度導入当初、法的な拘束力を持たない仕組みに対し「実効性のない、単なる気休めではないか」と疑問視する声もありました。しかし、いざ開始されるとメディアで一斉に報じられ、社会に大きな反響を呼びました。

保坂区長は「制度を作って終わりにしない」ことを重視し、自ら不動産業界(宅建協会や日本不動産協会)の会長のもとへ足を運びました。「この制度は人権保障のために作ったものである。部屋探しに訪れる当事者を理解し、寄り添ってほしい」と直接対話を通じた働きかけを行いました。その結果、不動産業界での理解が加速したほか、携帯電話の家族割の適用など、民間企業によるサービス拡充が予想以上に広がることとなりました。

また、利用者からの「証明書を持ち運びやすくしてほしい」という要望を受け、カード型を導入。さらに2022年には、パートナーの親や子も「家族」として包摂するファミリーシップ宣誓」を開始するなど、利用者の声を聞きながらアップデートを重ねています。行政内部においても、同性パートナーを持つ区職員に対する互助会の慶弔金支給や、区営住宅への入居適用など、既存の枠組みの丁寧な見直しが進められました。

区民が声を上げ、その声を行政が受け止めながら「共に作り上げてきた」プロセスそのものが、制度に確かな命を吹き込んでいます。現在、この取り組みは全庁的な連携へと発展しています。男女共同参画プランのみならず、地域保健医療福祉総合計画等への明記によって福祉や医療といった他部署連携も進められています。

10年の取組みのなかで苦情や「やめろ」という声は全くなく、アンケートを通じた区民調査でも「性的マイノリティに関する理解を進める施策が必要」だという声が7割を超えており、住民の声の後押しもあります。10周年を迎える2025年度、世田谷区では世田谷区パートナーシップ宣誓10周年記念イベントとしてリレーイベントを開催しました。

これからの10年:自治体から国、そして「半径5m」の変革へ

「パートナシップ制度20周年のお祝いはしたくない、同性婚の必要性を強く感じている」という保坂区長の強いメッセージとともに、これから先なにが大事になってくるのかについてお話されました。

パートナーシップ制度は、世田谷区と渋谷区が全国で初めて踏み出した挑戦でした。だからこそ、私たちは常に「よかれと思って始めたことが、当事者にとって無神経なものになってはいけない」と、細心の注意を払いながら進めてきました。

もちろん、自治体ができることには限界があります。憲法や法律の枠組みを自治体の条例だけで超えることはできませんし、民法改正の必要性も強く感じています。しかし、その「制度の狭間」で、自治体がギリギリできることは何なのか。

制度は「作って終わり」ではありません。スタートしてから見えてくる課題があります。世田谷ではこの10年で、同性カップルが二人で歩いたり、お店で過ごしたりする姿が当たり前に見られるようになり、当事者の声を聞きたいと言えば聞ける状態になりました。

一方で、制度を導入してもなかなか申し込みが増えない地域もあると思います。それは、当事者の方々が行政とのつながりに不安を感じていたり、過去に辛い経験をされていたりする背景があるのかもしれません。だからこそ、私たちの実践を共有しあう必要があると思います。

例えば、「住まい」の問題は暮らしの土台です。民間賃貸住宅のハードルを下げたり、市営・区営住宅の門戸を広げたりといったことは、真っ先に取り組むべき課題です。

人権の本質とは、互いに差別や区別を設けないことです。かつては法律婚以外が認められにくい時代がありましたが、今は事実婚への理解も進んできました。しかし、事実婚とパートナーシップ制度の間にもまだまだ大きな「段差」が残っています。

社会にある「段差」を一つずつ丁寧に埋めていくこと。それを自治体職員の皆さんが理解し、議員や住民の皆さんに誠実に説明を尽くして動かしていく。その積み重ねこそが、今求められているのだと感じています。

ReBit藥師は次の10年で「地域のくらしが変わる」ことが大事だと話します。

これからの10年を見据えたとき、婚姻の平等などの法整備が進むことはもちろん不可欠ですが、それと同時に大切にしたいのが「地域の中での暮らし」そのものです。

「地域で共に生きていく」ということは、単に制度があることだけを指すのではありません。

  • 子どもたちが安心して学校に通えるか。
  • 生活に困窮したとき、既存の支援制度をためらいなく使えるか。
  • 病気になったときに、医療現場で家族として扱ってもらえるか。
  • 災害が起きたとき、誰一人取り残されずに安全に避難できるか。

このように、私たちの「半径5メートルの暮らし」にある教育・福祉・医療・防災といったあらゆる場面で、LGBTQ当事者の存在が「当たり前の前提」として想定されていること。それこそが、次の10年で私たちが共に作っていきたい変化の姿です。

そのために欠かせないのが、自治体と当事者、そしてアライ(理解者)である市民の皆さんが手を取り合い、直接声を聞き届ける仕組みです。

例えば福岡県や福岡市では、地域の当事者団体の皆さんと自治体の担当職員、さらには庁内のさまざまな部署の担当者が一堂に会し、定期的な意見交換を行っています。「今、現場ではこんなことに困っている」「それなら、こうした計画で進めよう」と、具体的なアクションを官民で一緒に作っていく。こうした、市民の声を反映させる「会議体」や「仕組み」を地域の中に根付かせていくことがすごく大事になると思います。

結びに代えて:自治体職員へのエール

シンポジウムの最後に、保坂区長は自治体職員、そして社会全体へ向けてメッセージを送りました。

「先ほど、パートナーシップ制度の20周年はお祝いしたくない、と申し上げました。それは、10年後には自治体独自の制度としてではなく、国の制度として当たり前に同性婚が確立されていてほしいという願いからです。10年後も今と同じ議論を繰り返しているようではいけない。この歩みを、国全体、社会全体の変化へと繋げていかなければなりません

また、日々現場で向き合う自治体職員の皆様へ言葉が贈られました

「前例のないことに踏み出すのは勇気が要ることですが、すでに日本中には参考となる事例が溢れています。それらを自分たちの自治体なりに発展させていくことは、非常にやりがいのある仕事のはずです。

何より忘れないでほしいのは、皆さんが取り組むこの課題が、一人の人間の命や魂、そして尊厳につながっているということです。

『社会全体が変わればいいな』と遠くを眺めるのではなく、まずは自分の目の前にある窓口の対応、身近な一人の扱いを変えてみる。それだけで、人の運命や気持ちは大きく変わります。『住宅に入れなかったけれど、来月から入れますよ』という一言が、誰かにとっての救いになる。自分たちには、人の運命を変える力があるのだと信じてください。皆様の力に期待しています。


ここまでの詳しい内容は、下記よりアーカイブ動画でご覧いただけます。


テーマ別セッション

テーマ別セッションでは「啓発・官民連携 / 相談支援 / 居場所づくり・交流拠点」に分かれ、LGBTQ課題に取り組む6団体の実践事例を共有いただき、LGBTQも安心して暮らせるまちづくりを実現するための協働を学びました。

啓発・官民連携

NPO法人カラフルチェンジラボとNPO法人虹色ダイバーシティからは、官民連携で加速するLGBTQフレンドリーなまちづくりの実践が紹介されました。

NPO法人カラフルチェンジラボ

NPO法人虹色ダイバーシティ

自治体とLGBTQ団体の対話によってパートナーシップ制度の導入にとどまらず、中学校での制服選択制や災害対策への視点反映などの生活に密着した施策の実現や、調査データによる性的マイノリティを取り巻く現状の可視化、拠点運営・国際イベントを通じた人権擁護と都市の魅力向上の両立など、多様性を尊重するまちづくりにおける官民連携の有効なモデルが示されました。

相談支援

LGBTQ当事者が抱える悩みは多岐にわたり、既存の福祉制度からこぼれ落ちやすい実態があるなかで、一般社団法人SOGIE相談・社会福祉全国協議会とNPO法人SHIPからは相談支援の実践が紹介されました。

NPO法人SHIP

相談支援の形態においても電話やSNS、対面、さらには相談員の派遣など多角的なアプローチがあり、寄せられる悩みの類型や相談者の特徴も踏まえながら実践事例が共有されました。自治体とLGBTQ団体が連携した具体的な相談体制の構築や、行政窓口における性別記載の適正化、性別移行プロセスへの理解促進など、自治体側が主体的に取り組むべき創意工夫の数々が紹介され、地域におけるセーフティネット強化の指針が示されました。

居場所づくり・交流拠点

LGBTQ当事者の孤独や社会的孤立のリスクが深刻化するなかで、一般社団法人にじーずとNPO法人プライドハウス東京からは、若年層への居場所支援や常設拠点の運営を通じた、当事者が安心して過ごせるコミュニティ構築の実践が紹介されました。

一般社団法人にじーず

NPO法人プライドハウス東京

当事者が孤立することなく、多様な性のあり方が包摂される居場所づくりの意義に加え、自治体との協働による居場所づくりや啓発に関する実践事例が共有されました。若年層向けのコミュニティ形成や、常設拠点を軸とした地域ネットワークの構築、さらには自治体や地域資源と連携した居場所の展開など、居場所が単なる交流の場を超えて、地域のセーフティネットとして機能するための具体的な道筋が示されました。


おわりに

本シンポジウムには、全国各地からLGBTQも暮らしやすいまちづくりに取り組む自治体職員の皆様、そしてLGBTQ課題に取り組む皆様にご参加いただきました。

まず何よりも、今日にいたるまでそれぞれの現場で地道な一歩を積み重ね、課題と向き合い続けてこられた皆様に敬意と感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございます。

ReBitはこれまで、さまざまな地域の皆様とともに取り組みを進めてきました。ご一緒する職員の方々からは、「どうすれば本当に暮らしやすい地域をつくれるのか」「当事者の声が見えにくいなかで、今の施策は役に立っているのか」といった、真摯なゆえの葛藤を多くうかがってきました。

一方で、私たちは地域に住む当事者の皆様からも、多くの声を聞いています。

「パートナーシップ制度があるからこの町に引っ越してきました」
「選挙の投票券に「名前の読み上げの希望しない」というチェックボックスが追加されていて、久しぶりに選挙に行けたんです」
「役所の窓口でレインボーフラッグが掲げられていて、地域のなかでカミングアウトはできないけど、変化を感じました」

どの地域でもLGBTQの人々は暮らしていて、取り組みを必要とする人はいます。

積み重ねてきた地道な取り組みこそが、地域の景色を変える確かな力となっていることを、本シンポジウムを通じて改めて実感いたしました。制度や施策の裏側にある、一人ひとりの「誰もが自分らしく暮らせるまちにしたい」という気持ちや行動は、地域を変える一助となっています。

本シンポジウムで共有された知見や熱量が、各地で活動を続ける皆様にとって、次の一歩を検討する手がかりとなれば幸いです。誰もがありのままで安心して暮らせる社会の実現に向けて、私たちReBitも皆様と知見を分かち合い、共に歩みを進めてまいります。



ReBitが提供する無料コンテンツ

自治体LGBTQ/SOGIEできることハンドブック

地方公共団体のためのLGBTQに関する施策事例集。40の省庁・自治体の取り組み事例を掲載しています。

LGBTQ自治体職員研修

自治体職員向けに行ったLGBTQに関する勉強会のアーカイブ動画集です。LGBTQ課題への知見を深め、今後の施策策定にお役立てください。

ほかにも教材や調査データを無料公開しています。


自治体のみなさまへのご案内

LGBTQ施策に関するご相談や伴走支援、職員向けの研修や各種監修も承っております。

これまでの実績(一部)

地方公共団体のSOGI研修動画の企画・制作2025年度:千葉県(企業)、山形県(住民・企業)、東京都社会福祉協議会(支援者) 2024年度:静岡県(住民)、東京都(企業)、静岡県掛川市(職員) 2023年度:東京都(企業)、東京都北区(職員)、東京都目黒区(職員)、福井県(住民)、静岡県掛川市(職員)
地方公共団体SOGIハンドブック・リーフレット等の作成・監修埼玉県(2023、相談機関向けハンドブックの監修)、大阪府(2023、住民向け啓発リーフレットの企画・文章作成・デザイン)、東京都人権啓発センター(2024、展示内容の監修)、東京都墨田区(2023、職員ハンドブックの監修)、東京都北区(2020~2023、ハンドブック・リーフレットの監修)、東京都新宿区(2024、職員ハンドブックの監修)、福岡県(2024、職員ガイドブックの監修)、等
行政機関の職員SOGI研修企画・実施内閣府、厚生労働省、法務省委託「人権啓発指導者養成研修会」(地方公共団体職員向け)、東京都、宮崎県、福井県、東京都文京区、東京都杉並区、東京都品川区、東京都目黒区、東京都町田市、東京都葛飾区、東京都羽村市、神奈川県横浜市、神奈川県青葉区、神奈川県北区、神奈川県座間市、神奈川県小田原市、神奈川県平塚市、神奈川県藤沢市、栃木県日光市、千葉県市川市、岩手県盛岡市、埼玉県和光市、埼玉県上里町、福井県勝山市、福井県永平寺町、福井県坂井市、他多数


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