
毎年7月14日は「国際ノンバイナリーデー」です。3月8日の「国際女性デー」と、11月19日の「国際男性デー」のちょうど中間に位置する日として誕生しました。
「バイナリー(Binary)」とは、もともと「二進法」や「二つの要素からなる」という意味の言葉です。ジェンダーの文脈(ジェンダーバイナリー)では、性別を「男性」か「女性」の2つだけで捉える考え方を指します。そこに否定の接頭辞である「non」がついた「ノンバイナリー」は、「二者択一ではない」という意味であり、男女という二元的な枠組みのどちらにも当てはまらない、あるいは収まらない自身の性のあり方(性自認)を指す言葉です。
なお日本では、女性にも男性にも当てはまらないジェンダーアイデンティティを示す言葉として、「X(エックス)ジェンダー」という表現が使われることもあります。
◆ ノンバイナリー・プライドフラッグの色の意味
レインボーフラッグがLGBTQ全体の象徴であるように、ノンバイナリーにも独自のプライドフラッグが存在します。上から「イエロー」「ホワイト」「パープル」「ブラック」の4色で構成されており、それぞれ以下の意味が込められていると言われています。
- イエロー: 男女の枠組みに属さない性自認を持つ人々
- ホワイト: 多くの性別、またはすべての性別を持つ人々
- パープル: 男性と女性の中間や、両方の性質をあわせ持つ人々
- ブラック: 性別を持たない(無性)と感じる人々 (参照:https://queerintheworld.com/non-binary-pride-flag/ )

◆ 私たちの日常でできる工夫とアクション
誰もが自分らしく過ごせる環境をつくるために、私たちはどのような工夫ができるでしょうか。具体的なアクションをいくつかご紹介します。
- 書類の手続きやシステムの見直し
業務やサービスの書類において、本当に性別の情報が必要かどうかをまず検討し、不要であれば性別欄自体を削除します。どうしても必要な場合は、その理由や回答すべき性別は何か(例:社会保険の手続きに必要なため、法律上の性別を回答してください、等)を明示した上で、性自認を回答する場合には「女性」「男性」だけでなく「男・女にあてはまらない」「回答しない」といった選択肢を追加する工夫ができます。 - 言葉選びのアップデート
英語圏では「they/them」といったジェンダーニュートラルな代名詞が定着しつつあります。日本語でも、相手を「彼」「彼女」と決めつけて呼ぶのを避け、名前の後に「〜さん」とつけたり、「先ほど発言された方」などと言い換えたりする配慮が大切です。国際会議や学会等では、希望する敬称や人称代名詞を表明できる仕組みがある場面もあります。また、イベントの司会進行などで「3列目の女性の方」などと言うのを避け、「3列目の眼鏡をかけた方」などのように、性別を決めつけない呼び方をするのも、すてきな取り組みです。 - 服装や身だしなみルールの見直し
職場や学校での制服、あるいはスーツや髪型などの規定において、性別による指定(男性はネクタイ、女性はスカートなど)をなくし、誰もが自分の心地よいスタイルを自由に選択できるようにする取り組みです。最近は、制服選択制が導入される学校が増え、オフィスでも「各自がTPOにあわせて自分で服装を決める」というルールが徐々に広がってきています。
◆ 理解を深め、ともに行動するために
日本において、ノンバイナリーという言葉の認知が広がってきたのは、この10年程度のことです。映画や書籍、当事者の発信などを通じて常に新しい知識を学び続ける姿勢が大切です。 また、もし周囲でノンバイナリーやLGBTQをからかいの対象にするような発言や差別的な言動を見聞きしたときには、見過ごさずに「それはおかしい」と声を上げることも、アライ(理解者・支援者)としての重要な役割です。社内研修や多様性を考えるイベント、支援活動などに積極的に参加し、周囲に「あなたの味方である」という姿勢を伝えていくことが、誰もが生きやすい社会への一歩につながります。
今年の「国際ノンバイナリーデー」が、多様な性と生き方について知り、身近な行動を振り返るきっかけになれば幸いです。